こんにちは。
今回は、外傷性角加速度損傷についてお話をします。
外傷性角加速度損傷は、外傷性Pl損傷やPltと呼ばれる仙腸関節の損傷の一つです。
寛骨が仙骨に対して、後下方に転位する損傷です。
ほとんどの場合、しりもちをつく事によって坐骨結節部に強い衝撃力がかかることにより発生
ます。
その他、草むしりなど長時間に渡ってしゃがむ姿勢をとる事によっても外傷性Pl損傷が発生する事が確認されています。
外傷性角加速度損傷には3つの種類があります。
1、通常型外傷性Pl損傷(Plt)
2、T軸型外傷性Pl損傷(T-Plt)
3、異型外傷性Pl損傷(P-Plt)
この発生の違いは、転倒時の坐骨結節への衝撃力の角度の差によるものと考えられます。
臨床上では、2、T軸型外傷性Pl損傷(T-Plt)と3、異型外傷性Pl損傷(P-Plt)に遭遇することはほとんどありません。
ですので、臨床上では外傷性角加速度損傷は全て、1、通常型外傷性Pl損傷(Plt)と診断する事で問題はありません。
外傷性角加速度損傷は、非荷重の整復と比較すると難易度は下がります。
ところが、非荷重の整復に比べてやっかいな点があります。
それは、整復の累積が期待できない損傷、という特徴があるからです。
以前にお話をしたように、非荷重の整復は一定期間に行った整復は効果が加算されていきます。
外傷性角加速度損傷は、整復の累積が期待できないので、一回の整復で関節の転位を取りきる必要があります。
これはやっかいな点です。
90%仙腸関節の転位を整復しても、10%の転位を残すことによって、元の状態に戻ってしまうからです。
非荷重の整復に比べると、難易度は下がりますが1回で関節の転位をとりきる必要があるという点ではやはり難しい整復の一つと言えます。