今回も、ポストコンプレッションテストについてお話をします。
ポストコンプレッションテストは、下肢表層に現れる違和感や痺れを確認する検査法です。
下前腸骨棘の内下方45度の部位を、押圧して検査を行います。
この部位を押圧すると、限局性の疼痛が発生する場合がありますので
「今押している部分に痛みを感じますか?」
と確認します。
痛みを感じないか、左右のどちらかに痛みを感じる場合があります。
痛みを感じている側が下肢への違和感や痺れが発生せずに、全く何の変化も起きない場合は、
「外方辷り出し型非荷重損傷」の、可能性が高くなります。
「外方辷り出し型非荷重損傷」は、「T軸型非荷重損傷」ともいいます。
仙腸関節のT軸の方向にずれるタイプの非荷重損傷だからです。
TはTransverseの頭文字です。
「横方向」という意味からもわかる通り、仙骨に対して寛骨が横方向(外側)にずれるタイプです。
通常のやり取りで、TやT軸と表現されるものは、このT軸型非荷重損傷の事を指します。
T軸型非荷重損傷は、通常診察においてそれほど多く遭遇する損傷ではありまんが、頻度はAs、Pltの次にくる仙腸関節の損傷です。
T軸型非荷重損傷の正規整復法は危険性の高い整復法となります。
なぜ、危険性の高い整復法なのでしょうか?
患者の体をしっかりと保持する事ができないため、体の動揺がおこる可能性があるからです。
ですので、仙腸関節の整復に慣れるまでは、T軸型非荷重損傷は正規整復法ではなく、非荷重の整復法を応用した方法をお勧めします。
非荷重の整復法を応用した方法は、「絞り・トルク・整復力発動」までの一連の流れは、非荷重の整復法と全く同じです。
整復力の発動の際の、整復意識方向のみを変えます。
非荷重の整復法では、整復意識方向は水平ラインから後下方30度です。
T軸型非荷重損傷の場合は、水平ラインから下方90度に意識を変えます。
この意識によって、寛骨にT軸方向への整復力がかかります。
体の動揺による悪化のリスクを軽減する為に、T軸型非荷重損傷に対して、この整復法が有効になります。