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    駒込 構造医学 胸腰移行部(第3ベース)のみの整復が危険な理由は?

    今回は、胸腰移行部(第3ベース)についてお話をします。

     

    胸腰移行部は、第12胸椎と第1腰椎の椎間関節部にあります。

     

    胸腰移行部は、脊柱の回旋支点になる重要な部位で、可動域も大きい部位です。

     

    また、腰痛の患者のほとんどに、胸腰移行部の可動域制限がみられます。

     

    腰(仙腸関節)の影響を強く受ける部位だからです。

     

     

    胸腰移行部損傷は、椎間関節に離開がおこる事により発生します。

     

        右椎間関節離開・・・右回旋制限(R-RO)

     

        左椎間関節離開・・・左回旋制限(L-RO)

     

    となります。

     

    胸腰移行部の損傷は、いろいろな症状を発生させ、かつ強い症状となる場合があります。

     

     背部痛

     

     背部張り感

     

     腰痛

     

     臀部痛

     

     臀部張り感

     

    このような症状を発生させます。

     

    特に、臀部痛や臀部張り感は、胸腰移行部損傷が原因とは考えづらい為、見過ごされやすい症状です。

     

    なかなか改善しない臀部痛や臀部張り感は、胸腰移行部損傷が原因かもしれません。

     

     

    胸腰移行部の特徴は、仙腸関節の整復が正常に施術され仙腸関節が正常な状態になった時点で、ほとんどの胸腰移行部の異常が消失する点です。

     

    仙腸関節異常によって、見かけ上、胸腰移行部に可動域制限がでているという事になります。

     

    実際には胸腰移行部に異常が無い事が大半、という事でもあります。

     

    ということは、まず仙腸関節を正常な状態に戻してからでないと、正確に胸腰移行部の異常が確認できないという事です。

     

    この事から、仙腸関節を整復せずに、胸腰移行部の整復をする事は危険です。

     

    というのも、本来は正常な胸腰移行部が仙腸関節の影響で見かけ上、異常がおこっている場合に、胸腰移行部の整復を行うと、整復によって関節面離開をおこす場合があるからです。

     

    最も避けなければならない、整復による破壊がおこってしまう危険性があります。

     

     

    胸腰移行部の整復法には、指尖整復法と手掌整復法があります。

     

    手掌整復法の方が、難易度は低いですが、整復力が強くなりやすく、関節を破壊する可能性も低くないので注意が必要となります。

     

    手掌整復法は、母指球と小指球で第1腰椎の棘突起を挟むように把握しますが、この動作は簡単ではありません。

     

    反対側の示指の先端を、母指球と小指球で挟む練習をすると感覚がつかめます。

     

     

    慣れない内は左右の回旋制限と、左右の椎間関節離開の関連が瞬時に把握できないと思います。

     

    これが把握できないと、整復の際に、患者をどちらの向きに側臥位にするか考えてしまう事になります。

     

    場合によっては、反対側を整復してしまう可能性もありますので注意が必要となります。

     

       右回旋制限(R-RO)・・・・・患者の右肩を上にして側臥位にする。

     

       左回旋制限(L-RO)・・・・・患者の左肩を上にして側臥位にする。

     

    と覚えると、スムースに整復のポジションに移れます。

     

     

    仙腸関節の整復が優先されますが、胸腰移行部も大事な水平器です。

     

    早い段階で習得が必要な整復法の一つとなります。