今回は、「トルク」についてお話をします。
「トルク」は整復の手順の中で、「絞り」の次に行う動作です。
「絞り」によって、接触ポイントに到達した接触手・接触指が接触ポイントから離れないようにする重要な手順となります。
接触手・接触指が接触ポイントから離れてしまうと、整復力を発動しても、整復の効果がなくなるからです。
その意味では、「絞り」同様に、整復を行うにあたって重要な動作となります。
「トルク」を正確に行うと、関節構成組織に面圧が加わります。
関節構成組織に面圧が加わると、潤滑を得ることができます。
関節の潤滑を得るという事は、関節が正常な状態に戻るという事です。
その意味では、「トルク」をかけた時点で整復されている場合があります。
また、「トルク」によって整復を行う場合もあります。
「トルク」によって整復された場合でも、接触手・接触指が接触ポイントから離れた時点で、再び関節が元の状態に離開する場合が少なくありません。
整復された状態を保持する為に、整復力を発動し再び戻らないように関節を安定させます。
「トルク」をかけた後に、整復姿勢をとる「構え」に移りますが、その際に接触手・接触指が接触ポイントから離れたり、ずれる場合があります。
ですので整復不全にならないように、しっかりと、接触手・接触指が接触ポイントから離れないように、「構え」に移る必要があります。
非荷重の整復の場合は、接触ポイントから離れないようにする為に強い力で「トルク」をかけると、患者の体が傾く危険性があります。
傾いた状態で整復力を発動すると、外傷性角加速度損傷(Plt)や外方引き出し型非荷重損傷(ASEX)
をつくる要因となります。
体が傾かないように「トルク」をかける意識が、重要になります。
外傷性角加速度損傷(Plt)や外方引き出し型非荷重損傷(ASEX)をつくってしまうと、今までなかった様々な症状がおこります。
特に、外方引き出し型非荷重損傷(ASEX)は、診断・整復が非常に難しいものですので、おこった症状に対して、対応ができなくなる恐れがあります。
「トルク」から「構え」に移る時に、患者さんの左右の大腿部にクッションやバスタオルをたたんだものなどを挟むと、体の動揺が抑えられますので体が安定します。
患者さんの体が安定すると、「絞り」「トルク」「構え」「整復力を発動」に集中できます。
整復による破壊を防ぐ為にも、患者さんの体が不安定になりやすい場合は試してみてください。