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    駒込 構造医学 整復圧を「10-9=1」にする理由

    今回は、整復法のうち加圧整復法についてお話をします。

     

    整復は、弱い整復力で速度を上げることが重要というお話をしました。

     

    その他に、絞りやトルクを含めて短い整復距離で行うことと、短い時間で整復することも重要となります。

     

    関節の破壊を防ぎつつ、整復の効果を上げるためです。

     

     

    加圧整復法には、加圧した後に脱力する整復法があります。

     

    「椎間関節整復法」や「足関節整復法」に代表される整復法です。

     

    この整復法は、全ての整復法に適用可能な方法でもあります。

     

     

    どのような整復法かというと、整復圧を「10-9=1」とする整復法です。

     

    整復時の初めの圧力を10とした場合、次に反対方向に圧力を9引きます。

     

    最終的に、整復圧1が関節内に残って整復されるという方法です。

     

    同じ1の整復圧といっても、単に1の整復圧を加える場合とは、大きく異なります。

     

    どのように異なるのでしょうか?

     

    整復時の初めの「整復圧10」を加えると、関節内の内圧は上昇して「陽圧10」が形成されます。

     

    このときに、関節内部からの圧力で、変位・転位している関節面は正常な状態(生理的位置)に復元します。

     

    次に早い速度で整復圧とは逆の方向に「圧力9」を引くことによって、陰圧を形成させます。

     

    圧力を引くときに10の圧力を引いてしまうと、生理的位置に復元した関節面が再度、変位・転位してしまいます。

     

    「整復圧1」を残すことによって、復元した生理的位置を維持させるのです。

     

    単に1の整復圧を加える整復法では、このような効果を期待することはできません。

     

    このように、整復圧を「10-9=1」にすることによって、関節を正常な状態に安定させていきます。

     

     

    整復圧を「10-9=1」とする整復法は簡単ではありませんが、関節の破壊を防ぎつつ整復の効果を上げるために、整復の際に常に意識することが重要となります。