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    駒込 構造医学 基本的な診断のルーティーンの流れ

    今回は、診断のルーティーンについてお話をします。

     

    診断はルーティーンを決めて、その流れに沿って日常診察を行う事が重要となります。

     

    熟練の先生方は、ルーティーンに沿って診断をされていると思いますが、構造医学を始めて間もない方や、診断で迷っている方もいると思います。

     

    そこで、今回は私の基本的な診断のルーティーンを紹介したいと思います。

     

    次のような順に診断のテストを行っていきます。

     

    1、仙腸関節屈伸テスト(前屈テスト)・・・初診時、再度診断をとりなおすとき

     

    2、仙腸関節屈伸テスト(後屈テスト)・・・初診時、再度診断をとりなおすとき

     

    3、胸腰移行部回旋テスト

     

    4、頚胸移行部側屈テスト

     

    5、頭頚移行部回旋テスト

     

    6、長母趾伸筋筋力(反応)テスト・・・(注)このテストは補助診断になります。

     

    7、股関節屈曲テスト

     

    8、下腿内側部の知覚検査(ルーレットを使用)・・・(注)このテストは補助診断になります。

     

     

    仙腸関節屈伸テスト(前屈テスト)と仙腸関節屈伸テスト(後屈テスト)は、初診時や施術が進んでいくなかで、診断をとりなおす必要を感じたときに行います。

     

    また、急性腰痛など痛みが強い場合には、症状が悪化する可能性がありますので行いません。

     

     

    胸腰移行部回旋テストは、胸腰移行部(第3ベース)の異常を確認する検査ですが、仙腸関節の影響を強く受けます。

     

    私の場合ですが、どちらかというと仙腸関節の状態を確認する意味合いが強いものとなります。

     

    R-Roであれば、左仙腸関節損傷、L-Roであれば、右仙腸関節損傷の可能性があるな、と感じます。

     

    仙腸関節の整復の前であれば、胸腰移行部の可動域制限は仙腸関節損傷によって発生している場合が少なくありません。

     

    必ず、仙腸関節の整復をした後に、再度胸腰移行部回旋テストを行います。

     

    その時に陽性であれば、胸腰移行部の異常と診断します。

     

    経験上、胸腰移行部の可動域制限は、仙腸関節の整復後にほとんど消失します。

     

     

    頚胸移行部側屈テストと頭頚移行部回旋テストは、頚部の異常が原因の症状がある場合に行います。

     

    これらの診断も、仙腸関節の整復後に変化するケースが少なくありません。

     

    場合によっては、逆転するケースすらあります。

     

    また、仙腸関節の整復後に頚部の異常が消失する場合や、整復前はなかった異常が発生する場合もあります。

     

    例えば、頚胸移行部のL-BeがR-Beに変化したり、整復前には存在したR-Beが消失する場合もあります。

     

    存在しなかったR-Beが整復後に出現するという場合もあります。

     

    仙腸関節の整復後に、再度、検査をする必要があります。

     

     

    長母趾伸筋筋力(反応)テストは、補助診断になりますが仙腸関節の状態を確認するために必須の検査となります。

     

    基本的には長母趾伸筋の筋力の状態を確認するテストですが、長母趾の動きの反応を確認するテストでもあります。

     

    例えば、反応の中に、長母趾の動きが歯車ようにカクカクと動く場合があります。

     

    これはコッグホイール(CW)と呼ばれる動きで、外傷由来の仙腸関節損傷時に多くみられます。

     

    外傷性角加速度損傷や外傷性非荷重損傷といった、外傷由来の仙腸関節異常を疑います。

     

     

    股関節屈曲テストも、仙腸関節の整復後に再度確認をします。

     

    股関節は寛骨にある関節ですので、仙腸関節の整復によって寛骨の位置が変わることによって、股関節の動きが変わる事は少なくありません。

     

     

    下腿内側部の知覚検査は、ルーレットを使って検査をしています。

     

    知覚神経に鈍麻や過敏な症状が現れた場合は、外傷性角加速度損傷や外傷性非荷重損傷といった外傷由来の仙腸関節異常の可能性があります。

     

    この検査が陽性の場合、ポストコンプレッションテストを行います。

     

     

    以上が基本的な診断のルーティーンとなります。

     

    この後に、症状や外傷の発生状況などによって補助診断の中から必要なテストを選択して診断を進めていきます。