今回は、仙腸関節屈伸テスト(前屈テスト)についてお話をします。
このテストは、非荷重系の仙腸関節損傷の診断に有効となります。
腰痛が強い場合などは、症状の悪化する可能性がありますので、実施は控えます。
下肢後面に出現するテンションを確認するテストですが、うまくいかない場合は理由があります。
1、膝が曲がっている
2、前屈時に踵が浮いている
3、前屈時に体が傾いている
4、左右の足の位置がずれている
5、左右の足が開いている
このような状態では、正確にテンションを出現させることは難しくなります。
次のような注意が必要となります。
左右の膝蓋骨に手を当てて、膝関節が伸展を保つようにテストを行うと膝関節の屈曲を防止できます。
膝関節が少しでも屈曲していると、テンションが出づらくなります。
また、前屈時に仙骨にあてた手に圧力を加えて、わずかに前屈を強制させますが、このときに踵が浮き上がる場合がありますので、必ず目視で確認をします。
前屈を強めていくと、痛みによって体が傾く場合があります。
疼痛緩和肢位をとるためです。
体が傾くと、正確に診断ができなくなる可能性が高くなります。
例えば、患者さんが左に傾いた場合ですが、右の下肢に偽テンションが発生する確率が高くなります。
そうなると、右の非荷重損傷という診断になりますが、間違った診断ということになります。
左右の足がずれていたり、開いているとやはり正確な診断がとれなくなります。
立位では、足が開くことが多いので先につま先を揃えるように伝えるとよいと思います。
細かい点ですが、これらのことを注意してテストを行う事によって、正しい診断がとりやすくなります。
仙腸関節屈伸テスト(前屈テスト)でテンションの判定がうまくいかない方は、これらのことを注意して行ってみてください。