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    駒込 構造医学 胸腰移行部について注意を喚起する事例

    今回は、胸腰移行部について以前にあった事例をお話をします。

     

    胸腰移行部の整復は、必ず仙腸関節を整復をした後に胸腰移行部回旋テストを再度行い、その際に(+)と判定された場合に行います。

     

     

    以前に整骨院で施術をされている先生に、胸腰移行部の整復についての質問がありました。

     

    その先生は、構造医学を学ばれてまだ日が浅いということもあり、構造医学の知識や実技・臨床を一生懸命学ばれていました。

     

    その先生の整骨院に来院されている患者さんで、胸腰移行部の可動域制限が強く、整復をしてもなかなか改善できないというものでした。

     

    そして、手掌整復法ではうまくいかないので、指尖整復法を教えてほしいとのことでした。

     

     

    胸腰移行部の正規整復法は指尖法ですが、手掌整復法でも十分に効果があります。

     

    手掌整復法で難しい部分は、母指球と小指球で棘突起を把握するところではないでしょうか?

     

    特に、母指球や小指球が平たい方は、棘突起の把持が難しくなります。

     

    私も、はじめの頃は、母指球と小指球で棘突起を把握することが容易ではありませんでした。

     

    ただ、握力を強く使うスポーツをしていたため、比較的母指球筋と小指球筋が発達していたので、助かりました。

     

    母指球と小指球で棘突起をうまく把持できない場合は、少々時間はかかりますが、母指球筋と小指球筋を鍛えて棘突起を把持しやすいようにするとよいと思います。

     

    現在は、胸腰移行部の異常の80~90%を手掌法で整復しています。

     

    胸腰移行部が強くロックしている場合や、肥満体形などで棘突起を把持できない場合に指尖法で整復しています。

     

    個人的には指尖法の方が手掌法よりも難易度が低いように感じます。

     

     

    先ほどの先生に、指尖法を教えました。

     

    その先生に患者さん役になってもらい、整復の姿勢から絞り・トルクのかけ方を教えました。

     

    そしてこの整復法の特徴である患者さんの肘窩に術者の前腕をあてて、患者さんに強く把持するようにすることも伝えます。

     

    整復方向を水平にするという重要なポイントも教えました。

     

    指尖法に必要なことを全て覚えて帰られました。

     

     

    後日、その結果を教えていただきました。

     

    ロックしていた胸腰移行部の可動域制限が消失したそうです。

     

    よかった! といいたいところなのですが、手放しでは喜べない状況でした。

     

    というのも、その先生は仙腸関節を全く整復しないで、胸腰移行部の指尖法を整復したことがわかったからです。

     

    その患者さんの胸腰移行部の可動域制限が仙腸関節由来の場合、今回の整復で胸腰移行部に負担がかかった可能性があります。

     

    すぐに、胸腰移行部の整復は仙腸関節の整復をした後に、胸腰移行部に異常があったときに行うことを伝えました。

     

     

    胸腰移行部の整復方法を教える際には、胸腰移行部が仙腸関節の影響が強い事をしっかりと伝えないといけないと肝に銘じた出来事でした。