今回は、頭頚移行部回旋テストについてお話をします。
患者の頚部を回旋させた際に発生するテンションにより、頚椎の状態を確認するテストです。
第1頚椎の転位している方向を診断しますが、難易度の高いテストになります。
顔面の知覚神経(三叉神経)のテストと、頚椎の触診を併用すると、診断の確率が高くなります。
診断がうまく取れない場合は、頭軸圧整復法にて対応することをお勧めします。
頭軸圧整復法は、適正な整復力の範囲内であれば、比較的安全かつ効果の高い整復法となります。
(通常整復では4~8kg、訓練時では1.2kgの押圧力で整復を行います。)
【頭頚移行部回旋テスト・右回旋テストの判定】
回旋方向と同側(頚部右側面)に発生するテンション・・・ASRP
回旋方向と逆側(頚部左側面)に発生するテンション・・・ASLA
*テンションの出現は、頚部側面の上位1/2領域となります。
*左回旋テストの場合は、判定が逆になります。
アルファベットの意味は下記のようになります。
A (Anterior)・・・前方
P (Posterior)・・・後方
S (Superior)・・・上方
I (Inferior)・・・下方
R (Right)・・・右
L (Left)・・・左
ASRPでは、次のように第1頚椎が転位します。
第1頚椎が水平面で前方に転位・・・A (Anterior)
その前端が垂直軸上で、上方に転位・・・S(Superior)
第1頚椎全体が、水平面上で右側方へスライド転位・・・R(Right)
右スライド側が、後方へ回旋転位・・・P (Posterior)
ASLPでは、次のように第1頚椎が転位します。
第1頚椎が水平面で前方に転位・・・A (Anterior)
その前端が垂直軸上で、上方に転位・・・S(Superior)
第1頚椎全体が、水平面上で左側方へスライド転位・・・L(Left)
右スライド側が、前方へ回旋転位・・・A(Anterior)
テンションの確認がうまくできない場合は、次のことに注意をしてください。
1、脊柱が後弯している場合
2、回旋時に顎が前方にでている場合(頚部後傾)
3、回旋時に顎を後方に引きすぎている場合(頚部前傾)
脊柱が後弯していると、正確な診断をとることが難しくなります。
テンションが強く出現することもあり、整復後の再検査で見かけ上(-)のところを(+)となる場合もあります。
このような場合、背部に圧を加えて上体を伸展させると、テンションが消失する可能性があります。
回旋時に顎が前方にでていると、痛みがおこる場合があります。
これは、関節に直接圧力が加わるためにおこります。
検査を行うときの手の位置に問題がある可能性がありますので、手掌を頬骨付近にあてるようにします。
回旋時に顎を後方に引きすぎていると、判定すべき領域以外にテンションが出現する可能性があります。
回旋時に顎が前方にでている場合と同様に、検査を行うときの手の位置に問題がある可能性があります。
手掌を頬骨付近にあてるようにします。
判定の難しいテストですが、うまくいかない場合は上記のことに注意をしてください。