こんにちは。
今回は、転倒して膝をついた後に、股関節が痛くなる原因についてお話をしたいと思います。
その50代の女性は、階段で足を滑らせて膝をつく転倒をしてしまいました。
特に右膝を強くついた為、右膝の痛みが強く内出血もあったそうです。
ケガをしてから時間の経過とともに、膝の痛みは消失していきました。
皮下出血も痛みよりは時間がかかりましたが、きれいに消失しました。
ところが、膝の痛みが改善し始めたころから、右の股関節に痛みを感じるようになったのです。
膝はすっかりよくなってからも、右の股関節の痛みが続くようになってしまいました。
また、股関節の動きも悪くなって、着替えや靴下をはくときなど、以前に比べて簡単にいかなくなってしまったのです。
なぜ、ケガをした膝がよくなったにも関わらず、股関節の痛みがおこったのでしょうか?
膝をついた時の衝撃が股関節にかかって、股関節を痛めてしまったからなんですね。
膝をうっていますので、膝に打撲の強い痛みがおこります。
膝をうった衝撃は、太ももの骨を伝って股関節を痛めたしまうんです。
クギをカナヅチで打つと、衝撃がクギの頭にかかってその衝撃の力がクギの先端に伝わる事によって、木にクギがささっていきますよね。
このように、膝の角度によっては膝をうつと股関節に衝撃力が伝わるんです。
そして、関節を痛める度合いは、膝よりもはるかに股関節の方が大きいんですね。
ところが、股関節の痛みよりも、うった当初は膝の痛みの方が強いので股関節の痛みがあまり感じないんです。
痛みの特徴として、いくつかの痛みがある場合、一番強いものしか感じないようになっているんです。
痛みが移ったという事を聞きますが、実は、すでにあるいくつかの痛みの中で一番強いものを感じていて、その一番強い痛みが改善・消失されると次の痛みを感じるという事なんです。
そして、痛みの改善・消失とともに、痛みがその次その次という風に感じるので、痛みが移ったように感じるんですね。
打撲の痛みは強いですが、時間とともに改善・消失していきます。
一方、関節が転倒の衝撃でずれたり離開した場合は、関節をしっかり治さないと痛みが長引いてしまいます。
その方も、膝の痛みと股関節の痛みがあったと思いますが、より強い膝の痛みの方を先に感じていたのです。
そして、膝の痛みが改善してくるにしたがって、股関節の痛みを感じるようになったのですね。
このような場合、打撲よりも関節の損傷の方が、深刻なんです。
打撲は時間とともに回復しますが、関節の損傷は整復しないと元に戻らない事が少なくないからなんです。
その方の右の股関節は、膝からの衝撃によって、関節がずれて離開していました。
そのため、股関節に痛みと可動域制限がおこっていたのです。
膝をうったのに、なぜ股関節の痛みが残ったのか不思議だったそうです。
股関節を痛めた経過をお話すると、納得されました。
そして、股関節の整復をして、正常な状態に戻すと、痛みと可動域制限が消失していきました。
日常生活が以前のように送りやすくなったので、とても喜ばれていました。
本当によかったです。
股関節は立ったり歩いたりするのに重要な関節です。
股関節を痛めたままにしておくと、立つのがつらくなったり、歩く時に上手くバランスがとれなくなる可能性があるからです。
膝をついて、その後、股関節が不調になった場合は、この方のように股関節を整復して正常な状態にする必要があります。
股関節の不調でお悩みの方は、関節の整復を専門にしている当院にご相談ください。